実は、日本は「世界三大毛織物産地」の1つであることをご存知でしょうか。
スーツのクオリティは「生地選びで決まる」といっても過言ではありません。とっておきのスーツを新調するとなった際には、ぜひ生地の選び方に着目してみてください。
そこで今回は、スーツを仕立てる際の生地選びのポイントや、生地の産地ごとの特徴、おすすめの生地ブランドなどをご紹介します。これからスーツを購入する予定のある方は、ぜひ参考にされてみてください。
スーツ生地は産地ごとに特徴が異なる
まずは、産地ごとの生地の特徴についてお伝えします。スーツの生地は、生産国によって特徴が大きく異なります。
スーツの生地の生産国として有名なのは、イギリス、イタリア、日本の3国です。これらの国には、「世界三大毛織物産地」と呼ばれるエリアがあります。
・イタリア…ビエラ
・イギリス…ハダースフィールド
・日本(国産)…尾州
それぞれの特徴や魅力についてご紹介していきます。
イタリア

滑らかな手触りが特徴のイタリア生地の産地は、織物のメッカである「ビエラ」地方が特に有名です。1本の系で織る「単系(たんし)」の生地が多く、しなやかで柔らかいものが多くなっています。
イタリアの生地は全体的に鮮やかな発色で光沢感があり、ドレープ感のあるスーツに仕立てたいときにおすすめです。ゼニア、カノニコ、レダ、ロロピアーナなど、イタリア発祥の世界的ブランドも多くあります。
イギリス

スーツ発祥の国として広く知られるイギリス。特に「ハダースフィールド」は生地の産地として有名です。イギリス産の生地は太めの系が使われるため耐久性があり、構造的なブリティッシュスタイルのスーツにぴったりです。ふっくらと重厚感のある、クラシカルな雰囲気に仕上がります。
イギリス発祥の生地ブランドも多く、ドーメルやハリスツイード、フォックスブラザーズなどがあります。
日本(国産)

日本では、愛知県の西部から岐阜の一部を跨ぐ「尾州」が毛織物のメッカとして有名です。濃尾平野の恩恵を受け、優良なミルが各地に点在し、世界各国のアパレルブランドやテーラーショップへ生地を供給しています。
国産の生地は耐久性があり持ちが良く、機能が重視されたラインナップが豊富です。光沢感のある風合いが魅力でありながら、ヨーロッパ諸国の生地と比較するとリーズナブルになっています。初めてスーツをオーダーするという方は、国産生地から仕立ててみるのもおすすめです。
良質なスーツ生地を見分けるポイント
スーツの生地にはさまざまなブランドがあるだけでなく、コレクションも豊富に揃っているため、どのように選べば良いかわからない方もいらっしゃることでしょう。
ここからは、良質な生地の見分け方についてご紹介していきます。
・ツヤ感
・触り心地
・シワ戻り・回復力
・繊維の細さ
それぞれ解説していきます。
ツヤ感

生地を選ぶうえで、ツヤ感はとても重要です。上品な光沢があることで、ラグジュアリーで華やかな印象になるだけでなく、垢抜けた雰囲気も演出してくれます。
気になる生地を見つけたら、ぜひ同色のスーツと光沢を見比べてみてください。
触り心地

上質な生地ほど柔らかく、滑らかな触り心地となっています。生地選びの際は生地を実際につまんでみて、ソフトな感触かどうか確かめてみましょう。
人によって好みはあるものの、高級生地には手触りが良く、肌なじみの良い素材が多いです。
シワ戻り・回復力

シワ戻りの良さと回復力も重要です。こちらも実際に触ってみて、シワがすぐに戻るかどうか確認するとわかりやすいでしょう。
上質な生地は弾力性に加えてハリ・コシがあるためシワになりづらく、シワになったとしても回復力に長けています。
繊維の細さ

スーツ生地で「SUPER 〇〇’S」という表示を見かけたことのある方も多いのではないでしょうか。これは生地のもととなる繊維の細さを表したもので、「〇〇’S」の数字が高くなるほど繊維が細く、高価な生地として位置付けられています。
ただし一点注意しておきたいのが、ただ細いものを選べば良いというわけではないことです。繊維が細くなるほどデリケートになるため、デイリー使いのスーツなど、用途によってはある程度の太さがあった方が良い場合もあります。
スーツの生地の主な原料
スーツの生地の原料にはさまざまな種類があります。ここでは、原料の主な特徴と着用季節をまとめました。
減量 | 特徴 | 主な季節 |
ウール | 暖かく耐久性に優れている | オールシーズン |
モヘア | 光沢があり弾力性がある | 夏 |
カシミヤ | 高級で非常に柔らかい | 秋・冬 |
キャメル | 保温性が高く柔らかい | 冬 |
シルク | 滑らかで軽量 | オールシーズン |
コットン | 通気性があり快適 | 夏 |
バンブー | 柔らかく環境に優しい | 夏 |
リネン | 軽くて通気性がある | 夏 |
レーヨン | 柔らかくドレープ感がある | 春・夏 |
ナイロン | 強くて軽量 | オールシーズン |
ポリエステル | 耐久性と回復力がある | オールシーズン |
基本的に、天然素材で希少価値があるほど価格は高くなります。ナイロンやポリエステルなどの化学繊維はリーズナブルでありながら扱いやすく、オールシーズン着用できるスーツも多くなっています。
スーツ生地の選び方
ここからは、スーツを仕立てる際の生地選びのポイントをご紹介します。スーツを新調する際は、ぜひ以下のポイントに着目して生地を選んでみてください。
・着用する季節で選ぶ
・シーンや目的に合わせて選ぶ
・色柄の好みで選ぶ
それぞれ解説していきます。
着用する季節で選ぶ
着用する季節によって、適切な素材は異なります。
・オールシーズン…ウール、シルク、ナイロン、ポリエステルなど
・春…レーヨンなど
・夏…リネン、コットン、モヘアなど
・秋…カシミヤなど
・冬…カシミヤ、キャメルなど
冬には保温性が高く、暖かいカシミヤやキャメルなど、保温性の高い厚手の生地が適しています。一方で、夏には通気性と吸湿性に優れたリネンやコットン、モヘアなどの軽い生地を選ぶのがおすすめです。
春や秋には、季節の変わり目でも対応しやすいウールや、ブレンド生地などが着回しやすくなります。
シーンや目的に合わせて選ぶ
スーツを着用するシーンや頻度が決まっている場合、目的に合わせて生地を選びましょう。
ビジネスシーンやフォーマルな場では、ウールやウールブレンドなどの高級感のある素材が適しているでしょう。反対に、カジュアルシーンやプライベートでの着用なら、リネンやコットンなどの軽やかな素材も上品に着こなせます。
パーティやイベントへ参加する際には、光沢感とツヤ感のある素材を選んだり、モヘアなどで差をつけたりするのも1つです。
色柄の好みで選ぶ
最後に、ご自身の色柄の好みで選んでみるのも1つです。ブランドによって色柄の傾向も異なるので、お気に入りのブランドを見つけてみるのも良いかもしれません。
ビジネスシーンでは汎用性の高いネイビーやダーク系のカラーがおすすめですが、無地が寂しく感じる場合には控えめなストライプやシャドーチェックを選んでみるのもおすすめです。
また、季節やトレンドを反映したカラーや柄を取り入れることで、ファッションとしての着こなしも楽しめます。お手持ちのシャツやネクタイとのバランスもみながら、ぜひ気になる生地を見つけてみてください。
スーツ生地のおすすめブランド一覧
ここからは、スーツの生地でおすすめブランドを10つセレクトしてご紹介します。いずれも優良メーカーばかりなので、ぜひ参考にしてみてください。
ブランド名 | 国 | 特徴 |
カノニコ | イタリア | 上質でありながら高コスパネイビーやグリーンなど鮮やかな生地が揃う |
レダ | イタリア | 生産量の7割以上を輸出している世界的ブランド高級感と機能性が両立している |
ロロピアーナ | イタリア | カシミヤとウールを扱うトップランナーイタリアらしい鮮やかな発色と艶やかさ |
ゼニア | イタリア | 厳選した天然繊維を使用各ハイブランドやテーラードショップがこぞって採用 |
ハリスツイード | イタリア | 厳選された100%子羊の新毛のみを使用地球をモチーフにした「オーブマーク」が目標 |
ドーメル | 英国 | オーセンティックアメリカントラディショナルな雰囲気イギリスの伝統とフランスの精神が融合 |
フォックスブラザーズ | 英国 | 職人技が光る老舗ブランド「フランネル」の生地が有名 |
ギンテックス | 日本 | フィラメント製品に強みを持つブランドブライダルやフォーマル向けの生地が得意 |
ミツボシ | 日本 | 自社の織機で織り上げた高品質な素材が豊富生地に織り上げるのが困難な素材も取り扱う |
ハードレックス | 日本 | 国島毛織が展開するオーダースーツ向けのブランド高機能かつ高品質な生地が豊富 |
カノニコ【イタリア】
CANONICO(カノニコ)は、1663年に創業した歴史ある生地メーカーです。世界中のテーラーやファッションブランドが扱う生地を提供している織元で、イタリアらしい発色の良さも印象的。特に、ネイビーやグリーン系の色が有名です。
高品質でありながら価格も抑えられていて、高いコストパフォーマンスを発揮する、高級スーツの入門として最適な生地となっています。
レダ【イタリア】
REDA(レダ)は、1865年にイタリア北部ビエラ地区で創業した老舗ブランドです。ビエラ地区は、毛織物が有名な場所でもあります。生産量の7割以上を輸出しているとされる、世界的なメーカーです。
レダの生地は、テーラーからデザイナーズ、セレクトショップにビッグブランドまで、幅広く取り扱われています。風合いや光沢感といった見た目の美しさだけでなく、耐久性や伸縮性も持ち合わせているのが特徴です。加工技術によりまるでシルクのように艶やかな「シルキーエフェクト」、機能性に優れた「アットー 130’s」、「マイヨール 150’s」など、コレクションも豊富に取り揃えています。
ロロピアーナ【イタリア】
1924年に北イタリア・トリベロで創立されたピエトロ・ロロ・ピアーナが設立したテキスタイルの会社が発祥のブランドです。繊維の生産から紡績、スーツの製品化まで一貫して行える名門として知られています。高品質のカシミヤとウールを扱うトップランナーで、世界中の高級カシミヤの3割はロロ・ピアーナが生産しているとされています。
定番の「Super130’s」、オールシーズン着用可能で世界に名を知らしめるきっかけにもなった「Tasmanian」など、イタリアらしい鮮やかな発色と艶やかさのあるコレクションが豊富に揃っているのもポイントです。
ゼニア【イタリア】
Ermenegildo Zegna(エルメネジルド・ゼニア)は、イタリアを代表する高級生地ブランドです。1910年に設立され、略称では「ゼニア」とよばれています。卓越した品質とエレガントなデザインが魅力で、各ハイブランドやテーラードショップがこぞって採用していることからも価値の高さがうかがえます。
滑らかで、光沢感のある艶やかな生地が特徴です。高い品質の天然繊維を原産国から直接輸入し、自社工場にて紡績・染色も行い、厳しい基準のもとで丁寧に織り上げています。定番の生地だけでも数百の数がある種類の多さも魅力です。
ハリスツイード【イギリス】
HARRIS TWEED(ハリスツイード)は、スコットランドのハリス島で作られる伝統的な手織りのウール生地です。地球をモチーフにした、赤色の「オーブマーク」を目にしたことのある方も多いのではないでしょうか。
厳選された100%子羊の新毛のみを使用しており保温性が抜群で、寒さが気になる秋冬のスーツ生地にぴったりです。温もりをリアルに感じられる素材でありながら、高い耐久性も兼ね備えており、高級感のあるジャケット素材として根強い人気があります。
ドーメル【イギリス】
ドーメル(DORMEUIL)は、フランスのラグジュアリーファブリックブランドです。さまざまなメゾンブランドから著名なファッションブランドに至るまで生地を提供しています。
フランスに拠点を持ちながらもイギリスの高級生地が主力となり、フランスの精神と優雅さ、貴賓さに加え、イギリスの伝統と格式を持ち合わせた高級服地ブランドとして有名です。
フォックスブラザーズ【イギリス】
FOX BROTHERS(フォックスブラザーズ)は、イギリス西部のサマセット・ウェリントン発の老舗ミルとして知られています。綾織りのウール生地を起毛加工する「フランネル」の生地が有名で、特に秋冬スタイルの代表格として長く愛され続けているブランドです。
サヴィル・ロウをはじめ世界中のテーラーがこぞって仕入れており、チョークドストライプやハウンドトゥース、グレンチェックなどの色柄も豊富に展開しています。
ギンテックス(髙銀毛織)【日本】
GIN-TEX(ギンテックス)は、愛知県一宮市の髙銀毛織が展開するブランドです。1933年からの老舗テキスタイルメーカーで、長年培ってきたノウハウを活かしたフィラメント製品に強みを持っているのが特徴です。
ブライダル地やフォーマル地、法衣地が特に得意で、徹底した品質管理のもとに自社工場で製造をおこなっています。
ミツボシ(三星毛織)【日本】
MITSUBOSHI(ミツボシ)は、世界のトップブランドも認める老舗ブランドです。1887年創業のテキスタイルメーカーで、尾州地域を代表するメーカーの1つです。シルクやカシミヤ、ウール、モヘアといった高級素材を得意とし、美しい風合いを活かして多彩なコレクションを展開しています。
卓越した技術により、ピュアキッドモヘアやピュアシルクなど、生地に織り上げるのが困難な素材も取り扱っています。
ハードレックス(国島毛織)【日本】
HERDREX(ハードレックス)は、1850年創業の国島毛織が展開するオーダースーツ向けのブランドです。「Super100’s」をはじめ、シルクブレンドやストレッチ素材など、自社の織機で織り上げた高機能かつ高品質な生地を多彩に展開しています。
「機屋としての立場から、良いスーツを生地で支えたい」との想いからなる、ディティールへのこだわりも魅力です。
スーツセレクトは豊富なスーツ生地が魅力
本記事では、スーツの生地の選び方や各生産国の特徴、おすすめブランドをご紹介しました。上質な生地は光沢のある滑らかな触り心地で、シワ戻りが良いのが特徴です。
季節や着用シーンによって適切な素材は異なるので、今回ご紹介したポイントをもとに、新調する目的に応じて選んでみてください。
また、生地選びで分からないことがあれば、実際に店舗へ足を運んでアドバイスを受けてみるのもおすすめです。
スーツセレクトでは、多彩な種類のスーツ生地を取り揃えています。色や柄、生地選びに関するアドバイスはもちろんのこと、スーツ全般についてのご質問や、コーディネートに関わるアイテム選びなどもしっかりサポートさせていただきます。
ぜひお近くの店舗に立ち寄り、気になる一着を実際に手に取ってみてください。また、公式通販サイトのご利用も心よりお待ちしています。